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『グローバルな人材』の採用、育成そして確保まで

『グローバルに考え、ローカルに行動する。』、お馴染の表現です。

しかしながらそれは、耳で聞くほど簡単なことではありません。コカ・コーラやトヨタそして近年ではスターバックスの商品は世界中どこでも入手可能ですが、実際のところ、国が異なればそこに暮らす人々の人間性や文化は多様です。だからこそ、マクドナルドはインド市場で、ゴマ付きパンにビーフ・パテ2枚にレタス、チーズ、ピクルスそしてオニオンまで挟んだ特製ソースで仕上げたビッグマックが提供できるのにも拘わらずチキン・マハラジャ・マックを売るのです。

グローバルな企業は、グローバルであることの役割やプロセスが継続的に理解でき、新たな機会開拓のためにそれらをローカル環境に適応させることができるマネージャーやエクゼクティブ、つまりは『グローバルな人材』を必要としています。しかしながらアジア・パシフィック地域、多くの企業にとって世界成長を牽引する中心的存在となる地域ですが、その地域において誰もが指摘するのは、グローバルな人材の不足であります。

アジア・パシフィック地域でグローバルな人材を発見するのは、実は企業にとってそれほど難しいことではありません。困難なのは、地域ビジネスが急激に成長し国外展開へと目を向け始め、更には給与体系が高騰するなかで、企業がグローバルな人材を確保しつづけることなのです。

このような例があります。昨年、日本のみずほフィナンシャルグループは東京本社にいる30人のジェネラル・マネージャーの一人にオーストラリア人女性を任命しました。同社が日本人以外の従業員をかような上級職に任命した初めてのケースです。みずほには約55,000人の従業員がおり、そのうちおよそ8000人が外国人で日本国外で勤務しています。みずほは2015‐2016年の会計年の営業利益の33%を国外活動から見込んでいます。

同様の展開は日本を代表する金融系企業では既に活発化しています。金融系企業の取り組みは、外国人や女性を役職に登用している他産業のそれを大きくリードしていると言えます。昨年、三井住友銀行は2人の外国人を業務執行役員に任命し、79人いる執行役員中4人が外国人となりました。

ドイツ銀行東京支社のアナリストは昨年行ったブルームバーグ社とのインタビューでこう語っています。「日本のメガバンクは海外でのビジネスにより一層頼らざるを得なくなっています。彼らは海外で雇用した人材が組織のいかなる部署であっても昇進していく道に門戸を開き始めたのです。」

しかしながら、日本の組織でキャリアアップしている非日本人たちは(数少ない例外を除いて)、彼らが更に上層の本社上級職に到達するには厚いガラスの天井が存在すると感じているはずです。もし日本企業が本気でグローバル化を考えているなら、上級職候補の外国人に提示するバリュー・プロポジションにはより真剣な注意を払うべきでしょう。

報酬金額はもちろん重要ですが、従業員のコミットメントを保ちより高いレベルの労働を提供させるためには別の要因が更に大きな役割を果たすのです。
グローバルな組織は、以下を行うべきでしょう。

  • ローカル・マネージャーたちに彼らが上級役員たちから信用され評価されていると自信を持たせる。
  • 双方向コミュニケーション・チャンネルを確立し、ローカル・マネージャーたちに彼らがグローバル戦略に参加し、グローバル事業に貢献していることを理解させる。
  • グローバルでのキャリア・パスが可能であることを示す才能育成開発プログラムを提供する。
  • 成果と報酬をローカル(現地)、リージョナル(地域)そしてグローバルで公正に測定するプログラムを開発する。

もし経営者が従業員に学習環境を提供することができるならば、それも明白な優位性となります。従業員が他社からのよりよい条件提示が理由で企業を去った際に代替要員の雇用と教育に費やす時間と経費は割高で総体的な生産性は低下するといえます。更に潜在的な打撃となりうるのが従業員のモラル低下と顧客サービスの低下です。当然のことですが、従業員が離職するしないに拘わらず、職務に十全に従事している従業員の労働はただ時計を見ているものたちのそれに比べてはるかに生産的であることは数々の研究調査が実証していることです。

今日の市場において顧客サービスの質を考慮しなくてもよい独占状態が許されている企業はほぼ存在しません。そしてその大多数にとって経営の成功をもたらす顧客サービスの質を決定づけるのは人間です。つまりあなたの従業員の技術と知識が競争市場での優位性をもたらすのです。

よって、管理職者は従業員の才能を引き出すプログラムを継続実行するべきですし彼らの持つ知識を組織全体に分配するべきです。それが管理能力を向上させ、顧客の満足度も高めるのです。そして何より利益率も向上するのです。

グローバル人材のマネージメントを促進させる5つの実践法

1. ローカル・マネージャーが信頼され評価されていると自信を持たせる

頭ごなしのトップダウン経営はローカル採用の社員の意欲をそぐとともに彼らを転職活動へと走らせます。更に、ローカル(現地)あるいはリージョナル(地域)単位のビジネス・ユニットに対して、地域固有のビジネス環境への配慮なくグローバル・プロセスを押しつけることは事業失敗のリスクを伴います。

アジア市場で成功を収めたアメリカ及びヨーロッパ企業のほとんどはローカルの嗜好や慣習にあったサービスを提供することで発展してきました。一方、多くのローカルへの適応が乏しい企業は敗北してきたのです。

1721年、徳川幕府の八代将軍徳川吉宗は世界で初めて、行政内に広くアイデアを求め意見登用された者へ報酬を与える組織的な制度『目安箱』を設立しました。近年においてはアメリカン・エアラインが従業者意見登用制度を開始し、最初の15年間で、会社は年間6億ドルを貯えることに成功し、意見が登用された職員たちに数百万ドルを金銭あるいは別の形で還元し感謝しました。

あなたの会社は社員に彼らの貢献が価値あるものだと感じるように運営されていますか?それとも彼らは単なる大きな組織の取り換え可能な歯車だと思っているでしょうか?もし彼らが尊敬と価値を感じ得ているならば、彼らは仕事に対してプライドを持っているはずです。繰り返しますが、企業の利益増加は高品質な製品とサービスの質の向上から生み出されるのです。

2. 双方向コミュニケーション・チャンネル

グローバル化した組織は年間数十億もの時間(とコスト)を費やして、世界中の従業員たちに、本社ではどのようにことがなされているかを伝えています。しかしながら逆の方向に、同じように多くの時間(とコスト)を費やして情報や知識を共有している会社の数は圧倒的に少ないと言えます。

双方向コミュニケーションは従業員に存在意義を感じさせるだけでなく(上記を参照)、企業運営の効率向上にも役立つのです。

組織の力学と効率性を研究したドイツの社会心理学者ウルリッヒ・クローケ(Ulrich Klocke)が次のように述べています。「例え議論を開始する前にグループのメンバーの誰ひとりとして適切な意見に賛成していなかったとしても反対意見は意思決定プロセスの質を高める。特に、反対意見が、共有されていない情報やあまり人気がない情報など、多岐にわたって情報を引き出し確認してくれる場合、よりその効果が発揮される。」
優秀な組織では、世界中で獲得したアイデア、技能、知識の変換が可能であり、ローカル・マネージャーにグローバル戦略を地域適合させることを許可します。最も優れた企業は更に進んだ戦略を実施しています。ローカル・ソリューションを他地域のマネージャーたちを触発するためにも全世界間で伝達共有しているのです。

3. グローバルなキャリアプランを創設し支援する

ヨーロッパとアメリカの人口を合計しても中国とアジアの人口合計数には敵いません。ということは、つまり、中国とインドはグローバル企業にとって最大に重要な市場であり、しかもいまだに成長を続けており、今後数十年間、更に重要度を増すマーケットになるということです。

中国とインドでビジネスを展開する企業は現地言語を話し現地の特性を理解する優秀な人材を獲得するための激しい競争の渦中にあります。往々にして優秀で輝いている者たちは世界に向かう野心をもっています。しかしながら、中国企業(ハイアール、ファーウェイ、レノボ)やインド企業(タタ、インフォシス、リライアンス)が世界展開を活発化させている今日、中国やインドの若きマネージャーたちは彼らの世界への野心を遂げるための最善の機会は現地企業にあると考え始めています。同様の現象は規模は小さいながらアジアの他の国々でも起きています。

現地言語を話し現地市場の特性を理解する才能あるローカル・マネージャーを求めるグローバル企業は彼らのニーズを考慮するべきです。グローバル企業は現地社員に彼らが将来CEOの椅子に座ることを夢見ることを許すべきでしょうか?あるいは彼らはあくまで現地採用であり、彼らがいかに優秀であろうとも強みは現地言語だけで国外での活動はあり得ないと彼らにあらかじめ伝えるべきでしょうか?もしあなたの答えが後者だったとしたらあなたの会社は人事分野で問題を抱えていると考えてよいでしょう。

グローバルな人材を惹きつけ留めておくために組織はモティベーションをあげる要素である報酬、福利厚生、柔軟な労働スケジュール、キャリア向上の機会そして企業文化などで従業員の期待に応えていく必要があります。そのためにはキャリア設計プランの柔軟性と従業員および経営者の両方が地理的および組織的に配置転換できるための高度なトレーニングプログラムが求められます。

4. 現地、地域およびグローバルの視点でのパフォーマンスの測定と評価

人材の評価には測定することが必要です。そして測定のベンチマークは活動ベース(例えば、トレーニングしたマネージャーの数)ではなく成果ベース(営業成績の向上)であるべきです。余りに多くの場合企業は個人の業績を、集団力学やマーケット自体の成長、あるいは後退といった要素を十分に考慮することなくチームあるいは会社の経営的なベンチマークで判断してしまいます。

グローバル・ベースで成果測定のフレームワークをやり直すことは大いなる労苦を必要とし、組織の戦略的目標との整合性も不可欠となります。しかしながら従業員の成果を認識できて検証できる組織は、マーケット・リーダーとして成長するという意味においてもその恩恵を得られます。その才能や業績を評価された従業員は組織にとどまって更なる業績達成へと意欲を駆り立てられるのです。

5. マネージメントの柔軟性こそが共生的な才能開発の鍵である

一つのマーケットにおける会社経営の戦略が全世界的経営の戦略と同一である理由は全くもってありません。顧客の要求は全世界で異なりますし、従業員の要求も違います。

それと同時にグローバリゼーションは顧客と従業員のふたつのグループにある共通した要求をもたらすこととなりました。例えば、中国の消費者は20年前に比べてはるかに高品質の製品を欲するようになりました。そして全世界の労働者は彼らの雇用主に、それがグローバル企業だった場合は特に、彼らの尊厳をより重視した扱いを求めるようになったのです。

グローバル企業にとって朗報は、リーダーシップ育成は明白に競争利益をもたらすということです。個人そして企業のニーズと意欲をバランスよく追及したグローバルな人材管理プログラムを実践している企業は同業者に勝利することとなるでしょう。

効果的なグローバル人材管理プログラムを始める第一歩は従業員が何を欲しているかを理解することです。次のステップは従業員の目標設定と企業のそれが足並みをあわせることです。

三番目に来るのが上級経営者が企業の全体戦略のゴール到達という文脈で育成人材に優位をつけることです。トップ従業員を認識し評価し、その重要性を彼らと対話するべきです。

成功する企業は人材開発と企業実績の両方の成功のサイクルを実感するでしょう。人を大切にして業績を正しく評価するという評判を得たならば企業の成功を担う優秀なリーダー的人材を惹きつけ彼らを保持し続けることはより容易になります。

鍵は上級経営者からのコミットメントです。組織全体にまたがっての人材開発、トレーニング・プログラム、測定評価システムなどを重要視しない会社は結局のところトップ・パフォーマーたちを惹きつけ確保しておけなくなります。優秀な人材がいなければ、製品の質もサービスの内容もつまりは低下してしまうのです。